【ChatGPTは学校で禁止すべき?】AIが学校教育へ与える影響とは

最近、AIの最新技術をベースにして開発された「ChatGPT」が、日本でも注目を集めています。Chat GPTの技術力の高さが話題になっている一方で、一部の教育関係者からはChatGPTのようなAIが学校教育に悪影響を与えるのではないかとの声もあがっています。

では、Chat GPTは教育現場において禁止すべきなのでしょうか。また、ChatGPTは、日本の教育に今後どのような影響を与えていくのでしょうか。

この記事では、ChatGPTが学校教育に与える影響について考察します。

Chat GPTができること、できないこと

まず、Chat GPTが公教育に与える影響について考える前に、Chat GPTができることとできないことを整理していきます。そもそもChat GPTとは、アメリカのOpenAI社が開発した生成系AIのことを指します。

Chat GPTはLINEのトーク画面などに近い、チャット形式のデザインになっています。
人間がChat GPTに相談したことに対して、自動で回答することが可能です。

具体的には、chat GPTができることとして以下のことが挙げられます。

・文章の自動作成

・プロジェクトの企画や台本作り

・データの計算、分析

・プログラミングのコードを書くこと

これらのことはいずれも、過去に蓄積された膨大な情報をAIが学習し、最適な形で出力するように設計されていることで成立しています。

人間顔負けの文章の正確さや、その回答内容に世界中で驚きの声が上がっています。

では、chat GPTにできないことはどのようなことでしょうか。例えば、以下のようなものが挙げられます。

・文章を読み取り、その意味を理解すること

・新しい価値やデザインを生み出すこと

・オリジナリティを発揮すること

これらのできないことは、できることの裏返しとも言えます。Chat GPTは基本的に過去に蓄積されたデータをもとに回答をしているため、新しい価値を生み出すことは苦手分野です。また、文章中の登場人物の気持ちを読み取ったり、文章の主旨を正確につかむことも困難といえます。

では、Chat GPTにできることとできないことを踏まえ、Chat GPTを学校教育で禁止すべきなのか、その影響もふまえて考えていきます。

結論:Chat GPTは学校教育で禁止すべきでない

Chat GPTを教育現場で禁止すべきでしょうか?結論としては、私は基本的には禁止すべきでないと考えます。

理由は以下の2つです。

・AIをどのように活用していくかを学んでいくべきだから

・学校教育で禁止しても、家庭などでの使用は禁止しきれないから

理由1:AIをどのように活用していくかを学んでいくべきだから

AIを学校教育で禁止すべきでない理由の1つ目は、AIをどのように活用していくかを学ぶべきだからです。現在、Chat GPTをはじめとしたAIを様々な企業が導入し、その活用が広まっています。

イタリアなどの一部の国ではChat GPTの使用を禁止していますが、ほとんどの国ではその使用は制限されておらず、グローバル社会の中でこれからも使い続けられていくことが予想されます。

日本でも国際社会の流れを受けて、職場や日常生活での使用の機会がすでに増えてきています。こうした社会でのニーズを受けて、教育現場でもChat CPTについて学ぶ機会を設けることが求められていくのではないでしょうか。

AIの仕組みや、AIにどのような命令をしていけばよいのかを学校教育で扱うことで、「シン・ニホン」の著者の安宅和人さんの言うように、AI-readyな人材が育成されていくでしょう。

理由2:学校教育で禁止しても、家庭などでの使用は禁止しきれないから

AIを学校教育で禁止すべきでない理由の2つ目は、家庭などでの使用は禁止しきれないからです。社会生活でこれだけChat GPTが浸透してきている以上、学校での使用は禁止してもそれ以外での使用は制限することが難しいでしょう。

いくら教育への悪影響を懸念して、学校でのChat GPTの使用を禁じたところで、家庭学習などでのChat GPTの使用は防ぎきれません。
学校で正しい使い方を学んでおかないと、むしろ家庭でさらに悪影響があるような使い方をしてしまう可能性もあるのではないでしょうか.

学校の情報リテラシーや情報モラルの授業で、実際にChat GPTを使い正しい使用法を教えることで、学校外や将来の生活においても、安全かつ有効にChat GPTを使っていけるはずです。

Chat GPTは教育に悪影響?考えられる懸念点とは

正しく有効にChat GPTを使用していくためには、Chat GPTが学校教育にもたらしうる悪影響を想定しておく必要があるでしょう。

Chat GPTを使用することで、具体的に学校教育にはどのような悪影響が生まれうるのでしょうか。考えられる懸念点を挙げていきます。

・課題をChat GPTに代わりにしてもらうことで、考える力が身につかなくなる

Chat GPTは文章作成からデータ分析まで、人間の知的生産の多くをカバーすることができます。そのため、学校からの課題をChat GPTに代わりにしてもらう生徒が現れることは十分に考えられます。

その結果、文章を考えたり計算をしたりする訓練を十分に積むことができず、考える力を育むことができなくなる可能性があります。

・学習意欲そのものの低下

Chat GPTに頼る場面が多くなることで、学習意欲そのものが低下する可能性があるといえます。

Chat GPTは学校から出される課題のほとんどに対して瞬時に答えを出すことができます。そのため、自分の頭で時間をかけて考えることが馬鹿らしくなってしまい「自分の頭で考える必要なんかないから、勉強頑張らなくてもいいや」と結論づける生徒がいてもおかしくないといえます。

悪影響だけじゃない!Chat GPTがもたらす新しい教育の可能性

このように、悪影響が生じる可能性も否定できませんが、Chat GPTをうまく活用していくことで、新しい教育の形を作り出していける可能性もあると考えます。

例えば、Chat GPTをうまく使うことで自主学習の効率を高めることができます。自主学習の中で疑問に思ったことをChat GPTに聞くことで、考えのヒントを得ることができ、自分で勉強が進められます。

また、Chat GPTが生み出した文章を修正したり、事実かどうかファクトチェックをすることにより、文章力や情報処理能力、批判的思考力を高めることができるでしょう。

このように、Chat GPTに考えることの下地を任せ、生徒はより発展的な内容への思考のステップを上げていくといった使い方が想定されます。

Chat GPTをうまく使っていけば学習効率を高め、質の高い教育を展開していけるかもしれません。

Chat GPTの出現により学校教育のあり方は確実に変わっていく

これまで見てきた通り、Chat GPTの出現は学校教育に良くも悪くも大きな影響を与えていくことが予想できます。

まず、これからChat GPTをはじめとしたAIが、さらに社会で浸透していくことで、学校で学ぶ教育内容そのものが見直されていくことは必須になります。

AIは幅広い疑問に対してすぐに回答を出力することができ、その点で人間の記憶力を大きく上回っているといえます。今後、なにかを記憶する力を教育に求めていくことは減ってくると思われます。

その代わり、情報の真偽を見分けるための基礎的な知識や批判的思考力、さらには美しく人間らしい表現をするための論理的思考力や表現力、創造性といった力がますます価値を持つようになり、その教育に重点が置かれることになるでしょう。

また、そのような力を生徒に育むためには、AIを用いた学習の良い点と悪い点を教師がまずはしっかりと理解し、その活用場面を意図的にコントロールしていく必要があります。Chat GPTをはじめとしたAIが、思考ツールの選択肢の一つとして使われることを想定して授業設計をしていくことになるでしょう。

このように、Chat GPTの出現により、学校教育の内容も教育の方法も大きく変わる可能性があるといえるでしょう。

まとめ

この記事では、Chat GPTが学校教育に与える影響について考察してきました。教育現場ではChat GPTを禁止すべきとの意見もありますが、社会でここまでその利用が広まっている以上、学校のみ使用を禁止するとしてもその効果は薄いといえます。

生徒も教師もChat GPTのメリットとデメリットをしっかりと理解した上で、場面に応じて使用していくことで、教育活動をより効果的かつ実践的なものにしていけるのではないでしょうか。最後までお読みいただきありがとうございました。

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