教員免許も手に入れたし、教員として働きたいけど、海外も行ってみたい!
そんな方にとって、日本人学校で働くという選択肢はとても魅力的なものに感じるはずです。
しかし、海外で働くのはハードルが高いし、そもそもどうやって日本人学校の先生になればいいの?と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では日本人学校で働くことを目指している筆者が、日本人学校の先生になるための4つの方法を紹介します。この記事を読めば、日本人学校で働くためにどのような道があるのか、その選択肢を知ることができます。
日本人学校で働くための方法その1 文科省派遣を利用する

方法の1つ目は、いわゆる文科省派遣といわれる制度を利用することです。
文科省派遣とは、都道府県の教員として採用されている教員の中から文科省が志願者を募り、日本人学校へ派遣する制度のことです。
まずは各自治体の教員採用試験に合格して教諭として採用された後、4〜5年の勤務を経た後で応募できます。
勤務する学校の校長や自治体から推薦を受けることで応募でき、その後、文科省の選抜を受けて日本人学校へと派遣されます。毎年500人ほどの文科派遣教員が日本人学校に派遣されています。
この制度を利用するメリットは以下の2つです。
- メリット1 派遣終了後の進路が確約されている
- メリット2 十分な経験を積んだ後に日本人学校で勤められる
文科省派遣のメリット1 派遣終了後の進路が確約されている
文科省派遣の場合は、都道府県の教員として採用されているため、日本人学校への派遣が終わった際には、その自治体に戻って教員として働く道が確約されています。
そのため、日本人学校にいながら次の進路を模索するといった必要がありません。また、結婚して家庭を持っている方でも、家族の同意があれば安心して応募することができます。
ただ、ビザの関係で基本的には派遣された教員の配偶者は働くことができないため、共働きの夫婦の場合、配偶者は仕事を休職または退職する必要があります。もしくは、単身赴任という形で日本人学校に赴任する方もいらっしゃいます。
文科省派遣のメリット2 十分な経験を積んだ後に日本人学校で勤められる
メリットの2つ目は、教員として十分な経験を積んだ後に日本人学校に行けるということです。
学校での勤務経験がないまま日本人学校に赴任する場合、海外での生活に慣れることに加えて、学校業務にも慣れる必要があります。仕事でもプライベートでも慣れないことばかりだと、赴任当初のストレスは非常に大きなものになるでしょう。
その点、文科派遣の場合は自治体にもよりますが、事前に4~5年日本の公立学校に勤務した上で初めて応募できるようになっていることが多いため、派遣後に業務に関して困ることは比較的少ないと言えるでしょう。
日本人学校では基本的に日本の公立学校と同じカリキュラムで授業が進んでいきます。そのため、仕事内容は日本の学校とほとんど変わらず、学校業務に慣れていることは大きなアドバンテージとなるでしょう。
日本人学校で働くための方法その2 JOESの講師派遣を利用する

日本人学校で働くための方法の2つ目は、教諭ではなく講師として派遣される方法です。
これは子女教育振興財団(JOES)が主体となって進めている、講師派遣制度を活用する方法です。
JOESとは各日本人学校と提携し、日本人学校が講師を採用する手助けをしている機関のことです。
教職員雇用支援 | 海外子女教育振興財団コーポレートサイト (joes.or.jp)
このJOESが実施している「日本人学校等学校採用教員募集」(講師派遣制度)には、日本の教員免許を持つ人であれば応募することができます。応募後、JOESが設定する採用プロセスを経て、各日本人学校への派遣が決定します。
この制度を利用するメリット・デメリットは、以下の2つです。
- メリット1 日本人学校に早く赴任できる
- メリット2 一次募集では、行きたい国を選択できる
- デメリット1 派遣終了後の進路を自分で開拓する必要がある
JOES講師派遣のメリット1 日本人学校に早く赴任できる
この制度のメリット1つ目は、早く日本人学校に行けるという点です。
前述の通り、文科省派遣では最低4〜5年の勤務経験が必要とされますが、JOESの講師派遣では教員免許を持っている人であれば、誰でも応募することができます。
つまり、学校での勤務経験がない学生も応募することができるため、社会人になってすぐに日本人学校で働きたい方にはぴったりの制度です。
また、教育業界ではない別の業種で働いている人や、教員経験がない社会人であっても、教員免許さえ持っていれば応募することができます。
JOES講師派遣のメリット2 第一次募集では行きたい国を選べる
メリットの2つ目は、第一次募集では行きたい国を選べるということです。
JOESの採用は一次募集と二次募集に分かれています。
一次募集では数ある日本人学校の中から、応募する学校を指定することができます。一方で文科省派遣では、行きたい国の希望が通るとは限らず、ランダムに派遣される可能性があります。
「この学校がいい」「この国がいい」という思いを持っていらっしゃる方は、この制度を活用すべきといえるでしょう。
JOES講師派遣のデメリット1 派遣終了後の進路を自分で開拓する必要がある
JOES の講師派遣制度にはデメリットも存在します。それは、講師派遣が終わった後の進路を自分で開拓しなければいけないという点です。
講師としての赴任期間は基本的に2年から3年です。そのため任期終了後、どのような進路を進むかまでは保証されていません。
講師派遣の場合は、その後、各自治体の教員採用試験を受ける、他の日本人学校を受ける、民間企業に就職する、大学院に進学するなど様々な進路が考えられます。
赴任後の進路を開拓するために、赴任中から戦略的に就職活動等を行う必要があります。
日本人学校で働くための方法その3 各学校の求人に直接応募する

日本人学校に働くための方法の3つ目は、各学校の求人情報を見つけて直接応募することです。
日本人学校によっては、求人サイトに求人を出していたり、自校のホームページに求人情報を掲載している学校もあります。
そこからメールやビデオ通話ツールを通じて、学校側と直接やりとりを行い、選考・採用といった流れになります。
学校の求人に直接応募するメリット・デメリットは以下の通りです。
- メリット 学校や海外生活についてのイメージを明らかにしやすい
- デメリット 求人情報が掲載されるタイミングに左右される
直接応募するメリット 学校や海外生活についてのイメージを明らかにしやすい
各学校の求人に直接応募するメリットは、赴任後についてのイメージを学校側とすり合わせながら選考を受けられる可能性が高いことです。
各学校の採用担当者と直接やりとりができるため、学校の雰囲気や現地の生活のことも質問しやすいでしょう。
担当者とのやりとりを通して赴任に対する不安感を解消することができ、万全の状態で渡航することができるのがその良さといえます。
直接応募するデメリット 求人情報が掲載されるタイミングに左右される
各学校に直接応募するデメリットとしては、求人情報が掲載されるタイミングに左右されるということが挙げられます。
文科省派遣やJOESによる講師派遣は、例年求人が出る時期が決まっています。一方で学校への直接応募を狙う場合には、いつどのようなタイミングで求人が出るか分かりません。
それは、急に欠員が見込まれることが分かった場合や、教員を増員したい場合などに、学校側がおのおののタイミングで求人募集をかけるからです。
そのため、この方法では各学校のホームページ等を定期的にチェックする必要があり、就職活動の計画が立てにくいというデメリットがあります。
日本人学校で働くための方法その4 ワーホリで渡航して現地で求人を探す

日本人学校で働くための4つ目の方法は、ワーホリで先に海外に渡航し、現地で求人情報を探すことです。
ワーホリとはワーキングホリデーの略で、日本と協定を結んでいる国や地域に長期滞在できる制度のことです。ワーキングホリデービザを取得することで、渡航する権利を得ることができます。
この方法は、とりあえず海外に住んでみたい、海外で働いてみたいといった気持ちがあるならば
選択肢の一つになり得るかと思います。
ワーホリで渡航して、現地で求人募集をさがすメリット、デメリットは以下の通りです。
- メリット1 現地での生活に早く慣れることができる
- メリット2 現地ならではの情報が手に入る可能性がある
- デメリット1 渡航費やビザを自分で用意する必要がある
- デメリット2 教員として確実に働ける保証がない
ワーホリ渡航のメリット1 現地での生活に早く慣れることができる
ワーホリで渡航して現地で求人をさがすメリットの1つ目は、現地の生活にいち早く慣れることができるということです。
他の方法の場合、渡航してすぐに教員としての業務がスタートすることが多いため、学校で仕事をしながら現地の生活に慣れていく必要があります。
一方でワーホリで渡航した場合には、まずは海外でしばらく過ごして、生活に慣れてから求人を探すという選択肢も考えられます。
自分のペースで進めることができるのが、ワーホリ海外渡航の魅力の1つといえるでしょう。
ワーホリ渡航のメリット2 現地ならではの情報が入る可能性がある
ワーホリで渡航して現地で求人をさがすメリットの2つ目は、現地ならではの情報が入る可能性があることです。
日本にいながら求人をさがす場合では、日本人学校の求人情報は主にインターネット上で探すことになるでしょう。
しかし、ワーホリでとりあえず渡航すれば、現地の人の紹介や職業紹介掲示板、案内所などで求人情報を手に入れられる可能性があります。
現地にいるからこそ、巡ってくる機会もあるかもしれません。そうしたチャンスにかけてみたいという方にも、ワーホリはおすすめの選択肢です。
ワーホリ渡航のデメリット1 渡航費やビザを自分で用意する必要がある
ワーホリで渡航して現地で求人を探す方法のデメリット1つ目は、渡航費やビザを自力で用意する必要があるということです。
他の選択肢においては、渡航の際に必要な航空券やビザを国や学校側が準備してくれたり、海外での保険費用や住宅まで手当として支給してくれる場合も少なくありません。
しかしながら、ワーホリで渡航する場合は、就労ビザの申請に必要な手間や費用もすべて自己負担であり、渡航した後の諸々の生活費もすべて自己負担となります。
そのため、この選択肢は必要な資金の目処が立ったうえで、検討できるといえるでしょう。
ワーホリ渡航のデメリット2 教員として確実に働ける保証はない
ワーホリで海外渡航して現地で求人を見つける方法のデメリット2つ目は、渡航後に教員として確実に働ける保証はないということです。
他の方法では、日本人学校から内定をもらったうえで渡航するため日本人学校で働けることが確定していますが、この方法ではたとえ渡航できたとしても、その後日本人学校の求人を見つけられるかどうかは不確定です。
そのため、渡航後にいかに情報収集を行い、いかに積極的に行動していくかが求人にありつける大きな分かれ道となってくるでしょう。
ワーホリをしつつ日本人学校の求人を探すこの方法は、非母語での情報収集能力や行動力に自信がある人には取り得る選択肢の1つになるかと思います。
まとめ

いかがでしたか?日本人学校で働くことは一見するとハードルが高いように感じます。
しかし、この記事でみてきたように、応募要件を満たしてさえいればチャレンジする方法はいくつもあります。
それぞれの方法にメリットとデメリットが存在するため、自分の人生設計や海外に行く目的を
よく考えた上で進路選択を行うことが必要でしょう。
いずれにせよ、日本人学校で働いた経験は、その後の人生にとって大きな学びとなるはずです。
この記事が日本人学校で働いてみたいという人にとって少しでも助けになれば幸いです。最後まで見ていただき、ありがとうございました。
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