教育現場で対話が求められている理由は?【対話と会話の違いについても解説!】

教員向け


現在、教育現場では対話の重要性について語られることが多くなっています。それは、文部科学省が授業を評価するための具体的な基準として、「主体的で対話的な深い学び」を示しているからです。


つまり、対話的な学びは令和の学校教育にとって、重要な要素の1つであるといえます。

では、対話とは具体的に一体どのようなものなのでしょうか。

また、なぜ対話は教育現場において重要なのでしょうか。


この記事では対話とはなにか、また対話の重要性について解説します。

対話とは「コミュニケーションを通じて考えをすりあわせ、共通認識を持つこと」

そもそも、対話とは「コミュニケーションを通じてそれぞれの考えの背景を理解し、お互いの考えをすりあわせることで共通認識を持つこと」を指します。

「対話」に似た言葉として、「会話」という言葉があります。


会話は、日常生活の中で話す内容すべてをひっくるめて、会話と指すことが多いです。



一方で、対話とは、ただ自分の思ったことを話すのではありません。相手の発言の前提となっている考えを掘り下げ、考えを深めていくのです。


例えば、「晴れの日の持ち物として、傘を持って行く方がいいよ!」と言った人がいるとします。

それに対して「ふーん、そうなんだ。」や「晴れの日は帽子もあった方がいいよ!」と答えるのは、対話とはいえません。

これは、ただ相づちを打ったり、それぞれに自分の考えをただ述べているだけです。


そうではなくて、「今日は晴れだから傘を持って行った方がいいよ!」というのに対して、「どうして晴れなのに傘を持って行くの?傘は雨の日に持って行くものでしょ。」と返すようなやりとりが対話になります。


これは、それぞれの考えのずれによって生じたやりとりといえます。

Aさんが「晴れの日は紫外線から肌を守るために、日傘として傘を持って行った方がいい」と考えているのに対して、質問したBさんは「傘は雨の日に持って行くもの」といった考えを持っています。


その考えのずれを埋め合わせるために「どうして」と聞き返したり、その聞き返しの質問に答えていったりすることで、共通認識を持つことができるようになります。

つまり、対話とはお互いの考えを出し合うだけでなく、それらをすり合わせることによって共通理解を持ち、さらには新たな考えへつなげていっているようなやりとりのことを指します。


授業の中でも、ただ考えを発表して「いいと思います」といったような反応で終わるのではなく、
「それってどういうこと?」であったりだとか「この考えにつけくわえると…」などの対話が生まれる状態が理想といえるでしょう。

対話が教育現場で重視されている理由は、生涯役立つ学びの形だから

対話の重要性がいろいろなところで叫ばれていますが、なぜ対話が重要なのでしょうか。
それは対話が一生涯にわたって役に立つ学びの形だからです。

対話による学びは、学校にいるときだけでなく、学校を出てからも深い学びを生み出す方法として有効な手立てです。


なぜ対話は一生涯にわたって有効な学びの形であるといえるのでしょうか。

理由は以下の3つです。

  • 自分にはなかった考えを取り入れることができる
  • 相手に自分の考えを伝える力が身につく
  • 人と関わる基礎となる力が身につく

順番に解説していきます。

対話で自分にはなかった考えを取りいれることができる

対話が生涯にわたって有効な学びとなる1つ目の理由は、対話によって自分にはない考えを取り入れることができるからです。


人は新たな考えを取り入れ、自分の考えを組み替えていくことで、学びを得ていきます。

新たな考えを取り入れ、自分の考えと照らし合わせながら、さらなる考えへと昇華していくプロセスは、まさに対話そのものです。

そのような意味で、対話は学びの本質的な形であるといえ、学びが一人では成立しないことの裏付けといえます。

対話で相手に考えを伝える力が身につく

対話が生涯にわたって役立つ学びである2つ目の理由は、対話することで相手に自分の考えを伝える力が身につくからです。

対話をすることで新たな考えを取り入れるだけでなく、自分の考えを相手に伝えるといったアウトプットの訓練にもなります。

また、対話をする中で、人に話そうとしてもうまく話せないといった経験をすることもあるでしょう。そのような経験から、人に話せるほどまだ内容を理解できていないということに気づくことができます。


「誰にでもわかりやすく相手に合わせた話し方で話せる」というのが、本当にそのことをわかったことの証でもあるのです。

対話で人間関係構築の基礎になる力が身につく

対話が生涯にわたって有効である3つ目の理由は、人間関係構築のための基礎になる力が身につくからです。

対話は学力保障に有効なだけでなく、相手を気遣ったり、相手の立場になって考える力も育みます。


相手の考えを尊重し、自分の考えも伝えながら、よりよい考えを生み出していくという過程においては、高度なコミュニケーション能力が必要となります。

対話の機会を積極的に設けていくことで、学習内容そのものだけでなく、人とのコミュニケーションの基礎をしっかりと身につけることができます。

まとめ

今回は対話とは何なのかについて、また対話の重要性について考えてきました。

従来の学校の授業では、自分の考えを相手に伝えるだけで、その後は練習問題に取り組んで終わりといった流れが多かったのではないかと思います。


それに比べて、対話ではさらにレベルの高いコミュニケーションが求められます。

相手の考えに関心を持ち、しっかりと相手の言おうとしていることを受け止め、自分の考えとすり合わせてさらなる考えを生み出していく、といったことは簡単にできることではありません。

しかし、こうした対話の訓練を学校で重ねていくことで、大人になっても建設的に議論を行ったり、相手の立場や気持ちを尊重したりできる人が育っていくのではないかと思います。


今後も対話的な学びは、学校現場において重要になってくるキーワードになっていくでしょう。

もし、対話を実際の授業でどのように取り入れていけばいいのか知りたい方は、こちらの書籍がオススメです!国語で対話型授業をどのように作っていけばよいのか、ためになるノウハウが詰め込まれています!


最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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